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パワハラ防止法の完全義務化

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パワハラ防止法の完全義務化

パワハラ防止法の完全義務化

2022/07/27

2020年6月1日に施行された「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」はこれまで大企業だけが義務化の対象でしたが、今年(2022年)の4月より中小企業も義務化となりました。これにより、中小企業も職場内のパワーハラスメント防止措置を講ずることが求められています。


従って全ての企業はパワハラ防止方針の明確化や相談体制の整備、パワハラに関する労使紛争を速やかに解決する体制を整えることが義務になっています。

 

これに従わない場合、以下のような行政罰が定められています。


パワハラ防止法(=改正労働施策総合推進法)で問題が見受けられる企業には行政(厚生労働大臣)より助言・指導又は勧告が入るほか、是正勧告を受けたにも関わらず従わなかった場合には、企業名が公表される(改正労働施策総合推進法第33条第2項)

 

厚生労働大臣は企業に対して、パワハラに対する措置と実施状況について報告を求めることができるとされており、それに対して「報告をしない」あるいは 「虚偽の報告をした」場合「20万円以下の過料」が科されるという規定が設けられています(改正労働施策総合推進法第36条第1項、第41条)

 

しかし、もっと怖いのは、パワハラ防止法が中小企業に義務化される前からあることですが、
もし、あなた自身がパワハラ行為者になったら…

 

①民事上の責任として損害賠償を請求される

 

・民事上の責任:
(行為者には) 民法709条の不法行為責任
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
           
(会社には) 民法415条の債務不履行責任(安全配慮義務違反)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
              
(会社には) 民法715条の使用者責任
第715条 1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3.前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。


②刑事罰に課せられる
  刑事罰:名誉棄損、侮辱罪、脅迫罪、暴行罪、傷害罪等


③会社内や社会的地位を失う
  懲罰規定(就業規則●条参照):「減給」「降格」「譴責」「出勤停止」「諭旨解雇」「懲戒解雇」等

 

こんなことまで視野に入れておくことが必要です。
行政罰よりも民事や刑事で訴追される大きなリスクを負うわけです。改めて社内のハラスメント防止に目を向ける良い機会ではないでしょうか。

 

次回以降、職場で知っておくべき代表的なハラスメント「パワーハラスメント」「セクシャルハラスメント」「マタニティハラスメント」の概要について紹介していきます。

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