ハラスメント再発防止対策
2022/09/28
先週まで数週間にわたり、職場における各種ハラスメントについて、その内容や事業者が行うべき防止策などについて詳しく解説してきました。大事なことは、日頃から事業所内での意識啓発や、ハラスメント防止対策の周知徹底を図るとともに、相談しやすい相談窓口となっているかを点検するなど職場環境に対するチェックを行い、特に未然の防止対策を十分に準備しておくことが必要ですね。
それでも、万が一ハラスメント行為が行われてしまった場合、事業者は、迅速かつ正確に事実確認を行うとともに、被害者に対して適切な措置をとり、再発防止に努めなければなりません。
ハラスメントが発生した際の対処法として、各ハラスメントに関する指針は、事業者に対し、以下の措置を求めています。
①ハラスメントに係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
②事実確認ができた場合は、行為者及び被害者に対する措置をそれぞれ適切に行うこと。
③相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
④事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
ハラスメントの再発防止策 POINT
・再発防止策は予防策と表裏一体です。予防策に継続的に取り組むことが再発防止につながります。
・取組内容の定期的検証・見直しを行うことで、より効果的な再発防止策の策定、実施に取り組みましょう。
■ 再発防止への考え方
解決に当たって、行為者を処分するだけでは、最悪の場合、同じことが再び繰り返されるという可能性が残ります。これを防ぐためには、次のような視点を持って解決を図っていくことが大切です。
・その後の職場が相談者にとって、安全で快適な環境となっているか
・行為者が同様の問題を起こすおそれはないか
・新たな行為者が発生する環境となっていないか
そして、再発防止策としては、以下のようなものが考えられます。
■ 再発防止策
①行為者に対する再発防止研修の実施
②事例発生時のメッセージ発信
③事例の活用
④管理職登用の条件
<参考>職場環境の改善のための取り組みもそのひとつです。
例えば、パワーハラスメント行為の防止に当たり、職場環境の改善のための取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。パワーハラスメントが起きてしまう要因には、例えば職場内のコミュニケーションや人間関係の希薄化、長時間労働の恒久化が考えられます。コミュニケーション不足により、異質なものを排除する風土が生まれ、また長時間労働による疲弊がパワーハラスメントへとつながっていく可能性があります。このような状況が考えられる場合は、職場内のコミュニケーションの強化や長時間労働対策を行うなど、職場環境を改善することがハラスメントの予防にもつながります。
新しい取り組みを行うことは時間と労力を要しますので、導入時は少し大変かもしれませんが、一度運用を開始すれば、あとは定期的なチェックとブラッシュアップを繰り返し行っていくことで社内の空気も変わってくるはずです。また、基本的なルールや運用にあたり、参考にできるサイトやサービスも数多くあります。ぜひそれらも活用し、より良い職場環境を目指し一丸となって取り組んでみてはいかがでしょうか。事業者も従業員も安心して働ける環境を目指して。
ハラスメントに関する記事は今週で終わりです。
次週からはまた新しい内容でお伝えしていきます。
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