パワーハラスメント概要②
2022/08/10
先週は、職場におけるパワーハラスメントの3つの定義と、6つの類型(種類)についてご紹介しました。今週は、パワーハラスメントの判断基準となる、6つの類型について、具体的にどのような行為が該当するのかを紹介します。
先週の記事
・パワーハラスメントの3つの定義
・パワーハラスメントの6つの類型
改めて、職場におけるパワーハラスメントの3つの定義とは?
職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動により、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので、
③労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの要素を全て満たすものをいいます。
職場におけるパワーハラスメントの言動は、大きく6つの類型(種類)に分けられます。
①身体的な侵害
②精神的な侵害
③人間関係からの切り離し
④過大な要求
⑤過小な要求
⑥個の侵害
出典:職場におけるパワーハラスメント | 明るい職場応援団
それでは具体的にどのような行為(範囲)がパワーハラスメントにあたるのでしょうか?以下、さらにくわしく具体例(パワハラに該当すると考えられる例/しないと考えられる例)を挙げていきます。
なお、各例については、優越的な関係を背景として行われたものであることが前提です 。
①身体的な攻撃
<該当すると考えられる例>
・殴打、足蹴り
・相手に物を投げつける
<該当しないと考えられる例>
・誤ってぶつかる
②精神的な攻撃
<該当すると考えられる例>
・人格を否定するような言動
・業務の遂行に関する必要以上に長時間の厳しい叱責や、他の労働者の面前で、大声での威圧的な叱責を繰り返し行う
・相手の能力を否定し罵倒する内容のメールなどを、相手を含む複数の労働者に送信
<該当しないと考えられる例>
・遅刻など社会的ルールを欠いた行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して強く注意
・企業の業務の内容や性質に照らして、重大な問題行動を行った労働者に強く注意
③人間関係からの切り離し
<該当すると考えられる例>
・意に沿わない労働者に対して、業務から外し、長期間にわたり別室に隔離したり、自宅研修させたりする
・一人の労働者に対して、同僚が集団で無視をし、孤立させる
<該当しないと考えられる例>
・新規に採用した労働者の育成のために、短期間集中的に別室で研修等の教育を実施する
・懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、一時的に別室で必要な研修を受けさせる
④過大な要求
<該当すると考えられる例>
・長期間にわたり、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下で、勤務に直接関係のない作業を命じる
・新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する
・労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制する
<該当しないと考えられる例>
・労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる
・業務の繁忙期に、業務上の必要性から当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せる
⑤過小な要求
<該当すると考えられる例>
・管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる
・気に入らない労働者に対して、嫌がらせのために仕事を与えない
<該当しないと考えられる例>
・労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減する
⑥個の侵害
<該当すると考えられる例>
・労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をする
・労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療などの機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に公開する
<該当しないと考えられる例>
・労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行う
・労働者の了解を得て、当該労働者の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促す
以上が具体例となりますが、個別の事案の状況等によって判断が異なることもありえるので、これらの例と少し異なるからといって必ずしもパワハラに該当しない、又は該当するということにはならないので注意が必要です。