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パワーハラスメント概要③

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パワーハラスメント概要③

パワーハラスメント概要③

2022/08/17

先週は、どのような行為が職場におけるパワーハラスメントにあたるのかについて、具体例を挙げて紹介しました。

 

先週の記事

・職場におけるパワーハラスメントの言動---6つの類型(種類)

(パワハラに該当すると考えられる例/しないと考えられる例)

 

今週は、厚生労働省が定義する「職場」「労働者」についてや、先週、先々週の記事でお伝えした「職場におけるパワーハラスメント3要素」について解説します。

 

1.職場におけるパワーハラスメント 言葉の定義

 

「職場」とは
事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指します。労働者が通常就業している場所以外であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。つまり、勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当することになります。(ただしこの場合も、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に解釈・検討を行う必要があります。)

「職場」の例
・出張先
・業務で使用する車中
・取引先との打ち合わせの場所(接待の席も含む)等

 

「労働者」とは
正規雇用労働者だけでなく、パートタイム労働者、契約社員など、いわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける派遣先事業主も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講じる必要があります。


2.職場におけるパワーハラスメント3要素の内容 詳しくご紹介

 

職場におけるパワーハラスメントは、 職場において行われる

①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるもの

であり、① から ③ までの3つの要素を全て満たすものをいいます 。

 

①「優越的な関係を背景とした言動」とは


業務を遂行するに当たって、言動を受ける労働者が抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。


●例
・職務上の地位が上位の者による言動
・同僚又は部下による言動で、業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

 

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」とは


社会通念に照らし、当該言動が明らかに業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。
●例
・業務上明らかに必要性のない言動・業務の目的を大きく逸脱した言動
・業務を遂行するための手段として不適当な言動
・当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動


この判断に当たっては、総合的に考慮することが必要です。個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。なお、労働者に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動があれば、職場におけるパワーハラスメントに当たり得ます。

 

③「就業環境が害される」とは


労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的又は精神的苦痛を与えるような言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。

 

職場におけるパワーハラスメント対策まとめ


●個別の事案について職場におけるパワーハラスメントの該当性を判断するに当たっては、労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程度等を総合的に考慮して判断することが必要です。


●個別の事案の判断に際しては、相談窓口の担当者等がこうした事項に十分留意し、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、相談者及び行為者の双方から丁寧に事実確認等を行うことも重要です。


●これらのことを十分踏まえて、予防から再発防止に至る一連の措置を適切に講じましょう。

 

厚生労働省が2020 年に実施した「 職場のハラスメントに関する実態調査 」 によると、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した人は 31.4%で、都道府県労働局における 2020 年6月の労働施策総合推進法施行後の 「 パワーハラスメント 」 の相談件数は1万8千件、「 いじめ ・ 嫌がらせ 」の相談件数も 2020 年度には約8万件もあるといい、職場におけるハラスメント対策は喫緊の課題です。

 

次週はセクシュアルハラスメントについて解説します。

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