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マタニティハラスメントについて

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マタニティハラスメントについて

マタニティハラスメントについて

2022/09/07

セクハラやパワハラに並ぶ、職場の3大ハラスメントのひとつ「マタハラ」は、マタニティハラスメントの略で、会社で働く女性従業員が妊娠や出産を理由に解雇や雇い止めをされたり、妊娠や出産にあたって職場で受けたりする精神的・肉体的なハラスメントを意味します。

 

男性社員の妊娠出産への理解の不足や協力意識の低さ、会社の制度やシステム・運用の問題などが主な原因として挙げられますが、制度取得により生じる他社員への負担や不満からマタニティハラスメントにつながってしまう、というケースも少なくありません。また、意外にも、女性による同性間のトラブルもあるといいます。
マタニティハラスメント対策は事業主の義務です。

そこで今回は、「マタニティハラスメント」の概要とその具体的な例、マタニティハラスメントをなくすための対策までを紹介していきます。

 

目次

1.マタニティハラスメントとは
2.マタニティハラスメントに該当する具体的な言動
3.妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いについて<参考>
4.マタニティハラスメントをなくすために

 

 

1.マタニティハラスメントとは

 

 

職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントのことで、「職場」において行われる上司・同僚からの言動、妊娠・出産したこと、または育児休業等の利用に関する言動により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることをいいます。

 

 

2.マタニティハラスメントに該当する具体的な言動は?

 

 

それでは次に職場におけるマタニティハラスメントの典型的な例をみていきます。

 

厚生労働省による、「マタニティハラスメント」に関する指針では、「マタニティハラスメント」を以下の類型に分類しています。

 

(1)制度等の利用への嫌がらせ型
(2)状態への嫌がらせ型

 

(1)制度等の利用への嫌がらせ型

 

ハラスメントの対象となる労働者は、女性労働者及び育児に関する制度等を利用する(利用しようとする、利用した)男女労働者です。

 

①妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置や、産前休業、軽易な業務への転換などの請求等をしたこと、または制度等の利用をしたことにより就業環境が害される場合

 

●典型的な例
・産前休業の取得を上司に相談したところ、「休みを取るなら辞めてもらう」と言われた。
・時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた。

 

②育児休業(産後パパ育休を含む)及び子の看護休暇や、育児のための所定労働時間の短縮措置、時間外労働の制限、などの請求等をしたこと、または制度等の利用をしたことにより就業環境が害される場合

 

●典型的な例
・育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない。
・産後パパ育休の取得を希望すると、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき」と言われ苦痛に感じた。

 

③制度等を利用したことにより嫌がらせ等を受ける

 

●典型的な例
・上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人にはたいした仕事はさせられない」と繰り返し又は継続的に言い、専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じている。
・上司・同僚が「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている。

 

(2)状態への嫌がらせ型

 

女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により就業環境が害されるものをいいます。

 

●典型的な例
・上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。
・上司・同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し又は継続的に言い、仕事をさせない状況となっており、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている。
・上司・同僚が「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている。

 

事業主が会社における環境や制度・体制を整えたつもりでも、社員への周知や理解が徹底されていないと、「知らなかった」ではすまされないトラブルにつながることがあります。企業の対応次第で、ハラスメント被害を最小限に収めることができ、また事前に予防できるケースもありますので正しい情報を収集しましょう。

 

※上記において、働く男性が育児休暇や育児目的の短時間勤務制度等を活用し育児参画することに対する精神的または肉体的な嫌がらせも対象となります。

 

 

3.妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いについて<参考>

 

 

(1)妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの例

 

男女雇用機会均等法第9条では、女性労働者の妊娠・出産等厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止しています。以下は妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの例です(厚生労働省より)。

 

1解雇すること。
2期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
3あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
4退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規 雇用 社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
5降格させること。
6就業環境を害すること。
7不利益な自宅待機を命ずること。
8減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
9昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
10不利益な配置の変更を行うこと。
11派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。

 

(2)育児休業等の申出・取得等 を理由とする不利益取扱いの例

 

育児・介護休業法第 10 条等では、育児休業等の申出・取得等を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止しています 。

 

1解雇すること。
2期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
3あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
4退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規 雇用 社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
5就業環境を害すること。
6自宅待機を命ずること。
7労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限又は所定労働時間の短縮措置等を適用すること。
8降格させること。
9減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
10昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
11不利益な配置の変更を行うこと。
12派遣労働者として就業する者について、 派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。

 

 

4.マタニティハラスメントをなくすために

 

 

企業に求められている「マタニティハラスメント防止対策」とは具体的にはどのような対策でしょうか?厚生労働省の指針では、事業主が講じるべき主な措置として、以下の4つを挙げています。

 

(1)事業主の方針の明確化及びその周知・啓発


(2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備


(3)職場における妊娠・出産・育児に関するハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応


(4)プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等に加えて、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、その原因や背景となる要因を解消するための措置

 

マタニティハラスメントは職場の就業環境を害し、労働者の能力発揮の妨げになる許されない行為です。妊娠・出産・育児休業等に関する否定的な言動は、マタニティハラスメントが発生する原因や背景となることから、職場全体で未然の防止対策を進めることが求められます。


安心して妊娠・出産・育児ができる職場づくりを進めることにより、マタニティハラスメントを防止していくことが大切ですね。

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